心の鉛

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見上げると、空中ではまるで花びらが舞うかのように、ちらちらと雪が降りだしていた。 「これくらいなら積もらないかなぁ?積もったら嫌だよねぇ。学校行くの大変だもん」 「うん...。でも、大丈夫!たとえ積もったとしても、必ず溶けるからさ!」 「えー?」と笑い、結奈は私の顔を見た。 それを確認して、私はもう一度空中を見上げる。 「冬が来て雪が積もっても、その後に必ず春はやってくるから...」 そう自分に言い聞かせるように呟き、私たちはまた歩みを進めた。 もう少し、自分に自信が持てるようになりたい。心に鉛を積もらせないようにーーーー 舞い散る雪を仰ぎつつ、私は自分にそう誓った。 《完》
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