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そしてその感情に悩まされるのは、家の外だけに限ったことではなかった。
「お兄ちゃん、また書道のコンクールで受賞したのよ!」
「おお!すごいなぁ秀明は!やっぱり俺に似て優秀だなぁ」
「なに言ってるのよ。秀明は私に似てるのよ!」
家の中でも、両親の会話の中心にいるのはいつも私ではなく、優秀な兄の方だった。
私も兄と同じくらいの歳から書道教室に通わせてもらってはいたが、その実力はどうも伸びない。
ーーーー私は兄よりも劣っている。
劣っている私は両親には愛されない。私はダメな子なんだ。
そう思った時、またあの鉛のような、黒く重苦しい感情が私の中に降り積もっていった。
それは一度積もると、雪のように溶けることはない。
後からどんどん降り積もり、心の中を真っ黒に支配していくのだ。
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