心の鉛

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「ねぇ、結奈」 「ん?」 「私の...いいところって、何かあるかな?」  下校中。 コンビニで買った唐揚げを口に頬張ったまま、結奈はキョトンとした表情(かお)でこちらを見つめた。 「なーに?急に」 そして笑い、そのまま唐揚げを飲み込む。 「いや、何かあるかなーなんて思って」 自分から聞いたものの、急に恥ずかしくなり私は俯いた。あまりに唐突だったかもしれない。 首を持ち上げうーんと唸る結奈を前に、私は慌てて両手を振った。 「あ、ご、ごめん!何も無かったら別に...」 「えー?何言ってるのよ!たくさんあるに決まってるじゃない!」
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