心の鉛

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明るくケタケタと笑う、結奈の予想だにしなかった返答に驚き、私は出しかけていた足を止めた。 「えっ...たくさん、あるかな?」 「うん、もちろん!まずねー、沙雪は器用だよね。技術工作の時間も家庭科のお裁縫も、なんでもパパーっと作れちゃうでしょう?私不器用だからさ、すっごく羨ましいんだぁ」 「そ、そうだったんだ...」 確かに、何か物を作る分野においては、私は人より素早くこなせるかもしれない。 けれどそれを羨ましく思っている人がいるだなんて、考えたこともなかった。 「それに何にでも一生懸命取り組むし、意外とっていったら失礼だけど、最後まで諦めないよね!粘り強いところも沙雪の長所だと思うよ!」 「そうかな...」 「うん!あ、あと、野良猫を見つけるのが速い!」 「なにそれ」 人差し指をピンと立て、真剣な表情でそう口にする結奈に、思わず私は吹き出してしまった。
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