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憎き研究部門長の木下さんが言っていた通り、昨今私立学校という表現がなされた場合はほぼ例外なく、〈カスタム〉御用達の教育機関だと断定して差し支えない。
成り立ちは遺伝子ゲットーとまったく同様の危惧からなのはご承知の通り。〈カスタム〉の子どもを持つ親からすれば、なににつけても〈プレーン〉の子どもからわが子を隔離しておきたいのである(不思議なことに大部分の両親が〈プレーン〉であるにもかかわらず、そうなのだ。彼らは自分たちがなんの付加価値もないのに富裕層になれたという事実をまったく失念しているらしい)。
小学校というのはいわば、自分で自分の面倒も見られない弱者のたまり場である。まともに抵抗できるのは教師連中だけであり、大部分が吹けば飛ぶようなガキどもなのだ。そうした事情もあり、むかしから小学校は変質者に狙われ続けてきた。
上は精神に異常をきたした男に押し入られて児童が虐殺されたという陰惨なやつから、下は通学路に出没する下半身露出おじさんまで、とかく彼らは尋常でない大人から目をつけられてきた。
そうなるとおのずから、学校側は自衛手段をとらざるをえない。校門は登下校の決められた十数分しか開いていないし、例によって監視カメラが塀に沿って据えつけられているのは日常的な光景である。
ご留意してほしいのは、これらの措置が〈プレーン〉小学生の通う公立小学校での常態だという点だ。孵化機が合計特殊出生率を1.9あたりまで回復させたものの、いかんせん低い時代が長すぎた。まだまだ将来の基幹労働力たる子どもたちの絶対数はぜんぜん足りていない。べつに絶えず流入してくる移民でもよいが、日本企業だって共通の言語を話す労働力をあえて採用しない理由はない。
そういうわけで子どもの命は露骨に重宝がられている。そこらの未成年を車で轢いてみるがよい。故意だろうが過失だろうが、おっかない検察官が学んできたすべてを傾注し、彼または彼女を有罪に導こうとするだろう。轢かれたのが老人だった場合、たぶん彼らはそれほど熱心じゃなくなる。ことに被告人が若ければ。
以上のような背景もあり、普段は軽視されがちな〈プレーン〉小学生でさえもが前述のごとき要塞然とした建物のなかで勉強させられている。日本の未来を担うであろう〈カスタム〉の小憎たらしいガキどもがどんな厚遇を受けているかは、推して知るべしである。
* * *
5校めでようやくアポを取りつけられそうな気配までもっていけた。受付担当者が捜査を許可してよいかどうか、決定権を持つ上司に尋ねてくれるらしい(これまでの4校はほとんど即座に電話を切られたものだ。「無理です」と言ってくれるだけまだましで、ひどいのになると無言でガチャ切りなんてのもあった)。
数世紀ほども待たされたあと、不意に保留の音楽が途切れた。「もしもし?」さっきの担当者じゃない。たぶん学校側が雇った民間の警察官だろう。まだ話してもいないのに不機嫌そうだ。
「ジーン・デベロップメント保安部の日下部と申します。お宅の学校が最近、けしからん連中につきまとわれてるらしいですな」
「いつの世にも小学生を狙うクズはいたぞ」どんどん声がでかくなってくる。わたしは耳から数センチ受話器を離した。「それともなにか。うちの警備体勢に問題があって、それを犬並みに嗅ぎつけた変質者どもが寄ってたかって押し寄せてるとでも言いたいのか、あんた」
そんなことはぜんぜん言ってないし、考えつきもしなかった。たぶん保護者からつけられたクレームをそのまま流用したのだろう。
「そうじゃなくて、保安部としてお宅の頭痛の種を取り除けたらと思っただけでして」
「こう言いたいのか。『お前らは自前で小学校ひとつ守れない無能野郎どもだ』。けっこう、その通りだこんちくしょう!」
「まあちょっと落ち着いて」よっぽど保護者からのクレームに参っているとみえる。「われわれはあなたがたに敵対するつもりはありません。微力ながら力を貸したいんですよ」
死のような沈黙。やがてぽつりと、「あんた、どこの会社の警察だったっけ」
「ジーン・デベロップメントです」
「どこかで聞いたことがあると思ったら、〈アルカトラズ〉の提携会社か」
わたし自身気づかないまま電話していたのだが、どうもそうらしい。受話器を首に挟んで固定しながらパソコンで調べると、〈アルカトラズ〉とこの小学校の経営母体は同じ管理会社のようだ(〈カスタム〉の巣である〈アルカトラズ〉に住みたがるような人間は当然、子どもたちを私立小学校に入れたがるに決まっている。さてどの学校が最適かと悩んでいるご両親の鼻先に、子どものシャトルバス送迎や放課後の預かりサービス、そしてもちろん学費割引などをぶら下げれば、自動的に入学先は決まる。管理会社は生徒を独占でき、住民は手厚いサービスを受けられる。やはり集約サービス一強の時代なのだ)。
その管理会社とジーン・デベロップメントは手を結んでいるわけだから、当該小学校とうちは〈アルカトラズ〉を挟んではいるが、事実上の同盟関係にあるといってよい。
「いいだろう。捜査を許可する」
やった。ついにアポをとった。「ありがとうございます」
* * *
「最近、妙なドーム建築が流行ってるなって思ってたんだけど」根岸は畏怖に打たれたように訪問先を見上げている。「まさかこれが小学校だったとはねえ」
「あたしはてっきり大むかしにやった閉鎖空間の実験棟、ほらなんて言ったっけ」
「バイオスフィア2?」すかさず補足した。
「そうそれ! あれのたぐいかと思ったよ。火星基地のための実験データがほしいとかでさ」
人口はいよいよ90億のオーダーに達し、確かに地球は窒息し始めているものの、めざましいバイオテクノロジー技術のおかげで「第二次緑の革命」とも呼ぶべき食料改革が起きた(いや、起きているといったほうが正しい。それはいまなお進行中で、毎日のように遺伝子組み換え作物が誕生しているのだから)。
病害虫に強い大豆、収穫量が数倍になった小麦や稲、実の大きいトマトなどなどのおかげでいまや、作付面積を増やさないまま収穫量が数倍に膨れ上がり、パンとか米などの主食の値段はノアが乗り切ったとされる天変地異レベルの大洪水でもない限り、まず上がりそうもない。
そのおかげでアフリカやらアジアやらで飢えている哀れむべき人間たちは、人口が漸増しているにもかかわらず減少の一途をたどり、いまや1億人を割らんとする勢いだ。
つまりマルサス主義者が躍起になって喧伝した、人口増加による飢餓という黙示録的な未来は結局訪れなかった。ためによその星へ人間を移し、食い扶持を減らさねばならないという宇宙産業畑の主張は空疎に聞こえ、研究資金を勝ち取る方便がまたひとつ失われたのである。
にもかかわらず、一部の篤志家や口八丁で政府を丸め込む天才的ネゴシエーターのおかげで少しずつ、宇宙産業は息を吹き返しつつある。その一例が恒久的な火星基地建設計画なのだ。
まったくの畑ちがいと思われるだろうが、うちはこれでもけっこう手広く商売している。火星環境である低重力、寒冷、ほぼ真空といった厳しい条件をものともしない遺伝子――俗っぽくいえば火星人遺伝子――を試験的に研究してさえいるのだ。もっとも真空で生きられる人間というのをわたしはいまだに想像できないでいるのだが。
「バイオスフィア2は20世紀の実験だぜ。お前いくつなんだよ」
「それを言ったら先輩だって老女ってことになりますよ」
「もういいよ老女で」笑いながら背中をどやしつけてきた。ふざけてやったにしては力加減を誤っている気がする。「とにかく、これがバイオスフィア2実験施設じゃなく、小学校ってんだから驚きだね」
「どこが入り口なんだい」冷やかし混じりに聞いてみた。「〈カスタム〉であらせられる根岸くん、きみならご存じじゃないかね」
「残念でした。ぼくの両親はそこまで金がなくて。学校はふつうの公立だったんです。それにあのころはここまで露骨なしろものはなかったんじゃないかなあ」
「腐ってても始まらん。日下部、頼む」
端末から電話をかける。数コールで受付担当者が出た。「日下部真琴と申します、ジーン・デベロップメントの。いまお宅の小学校の前に着いたんですがね」
「少々お待ちください」
間もなくドームの一部が横へスライドして、猫の額ほどの入り口が現出した。「そこからお入りください」
「秘密基地かよ」思わずつぶやいた。
あとはお決まりのエックス線検査、武器類を持ち込んでいないかの身体検査(〈アルカトラズ〉で学習したわれわれは、当然丸腰だったが)、簡易滅菌処置、その他いろいろが実施されたあげく、武装警備員2名が監視についた。これで人数的にタイというわけなのだろうか。
「あんたが日下部さんか」声からすると、電話口でわたしとアポ取り攻防を演じたおっさんだろう。「よろしく。後ろのお2人もよろしく」
われわれは手帳を光速の60パーセントほどで見せ合った(民間警察官の特徴として、自分の会社のロゴの入ったそれをたいていは恥ずかしく思っているのだ)。このおっさんと警備員2人は〈アルカトラズ〉の管理会社から出向しているという身分なんだそうだ。教師が保安に関わることはない。彼らは教えかたのうまさと知能、それに高潔な人間性で選ばれるのであり、当然保安能力なんかは考慮されない。
生徒たちを恐怖のどん底へ叩き落とす変質者をのさばらせないという余計な雑事をさせて、教師たちのパフォーマンスに悪影響をおよぼしたらどうする? それは生徒たちの学力に波及するだろう。学力低下は全国模試の結果として保護者の目に留まる。クレームの嵐ののち転校の申し込みが殺到する。それでは困る!
「ニュースじゃ変質者がうろついてるらしいけど、具体的な被害があったのかい」
おっさんは黙っている。
「あたしらはモンスターペアレントじゃない、同業者なんだ。べつにあんたらの保安体勢の不備を騒ぎ立てるつもりはないよ」
「すまん」おっさんはうつむいたまま、「だいぶ疑心暗鬼になっててな」
むかしなら教師が保護者から責められていたのだろうが、いまでは前述の通り分業体勢が確立されている。おっさんたちは学校側から責められ、保護者から責められ、そしてたぶん雇い主からも責められるという三重攻撃にさらされているはずだ。彼らの顔が憔悴しきっているように見えるのは気のせいじゃなかろう。
「女子児童の体操服がいくつか盗まれた」彼はもごもごと口ごもりながら、「3年生と五年生、それに六年生のもやられたっけか」
「全部女の子のやつなんですか」と根岸。
「らしいな。反吐の出る話さ。俺はロリコンだけは許せん。虫唾が走るんだよ」
「警備体勢をざっと教えてくれませんかね」
「さっき見てもらった通り、ここは学校というより要塞だ。全天候型ドームに覆われ、入場はすべて内部からの操作しか受けつけん。もちろん朝一で出勤してくる俺たちは外部操作で入るがね。これがまた傑作なんだ。どうやるか知りたいか?」
「果てしなく続く循環小数みたいなパスワードをそらんじる?」
おっさんは目を丸くした。「なんでわかったんだ?」
「似たようなシステムに苦しめられてる青年を1人知ってましてね」願わくば2人の記憶力が永遠に保たれんことを。「ところで児童の登下校はどんなようすなんです」
「シャトルバスでの送迎だな。バス専用のでっかい入り口があって、ガレージ兼駐車場もなかだ。そこでガキどもは乗り降りする」
「〈アルカトラズ〉と一緒だな」上司は肩をすくめた。「バスジャックでもしない限りは蟻の紛れ込む隙間もないぜ」
「ドーム周辺には監視カメラがあるんでしょ、どうせ」根岸はにやにや笑っている。
「もちろんだ。バズーカ砲でも撃たなきゃドームの壁は破れんだろうし、不審者がいればすぐにわかる」
「籠城戦でもやるつもりだったんですかね、ここの設計者は」
「バカみたいに聞こえるだろうがテロリストの攻囲戦を想定して、全児童を30日まかなうだけの食料と水が備蓄されてるぞ」
わたしはこらえきれずに吹き出した。「こりゃ本当にバイオスフィア2ですね」
「なんだそのバイオなんとかってのは」
「気にしないでくれ。身内ネタみたいなもんだから」森下さんが軽くあしらった。
「それにしちゃ、内部はずいぶん居心地がよさそうですね」ひょいと教室をのぞいてみた。子どもたちがしかつめらしい表情で授業を受けているものの、鉄格子やら指紋認証システムやらは見当たらない。「まるでふつうの学校みたいですよ」
「一応ここもれっきとした小学校なんだ。癲狂院じゃあるまいし、鉄格子なんぞをはめた教室にしてみろ。ガキどもが怯えちまうだろうが」
意外だ。このおっさんは子どもがどうやら好きらしい。
「それに保護者だって黙っちゃいないだろう。誰がうちの子を囚人みたいに扱う学校なんかへ入学させたがる?」
「輸出入みたいなもんですな。入れるのは厳しく、出すのは緩く」
「そんなところだ」
「話は逸れるけど、やっぱりこういうとこは高度な教育をやってんのかね。見学させてもらうわけにはいかないかい」
「森下さんとやら、授業参観日がどんなだか知ってるのかね。俺たち総出の厳戒態勢のもと、一触即発のテロ予告現場みたいな雰囲気なんだぜ。残念だがもらうべき許可書が多すぎる。あんたらをここに入れるのだってどれだけ苦労したことか」
「時間割だけでも見せてくれよ」
「それならいいよ」おっさんは諦めたようにため息をついた。「ほんとはそれですら許可書が2通ばかりいるんだがな」
われわれは角突き合わせて端末に表示された時間割を眺めた。まず印象的なのは理科系の科目が非常に多い。むかし懐かしい道徳とか社会とかはほとんど見当たらない。文系で唯一がんばっているのは英語だろう。それにしても6年生で物理をやるのか? それと気になったのは遺伝学。優生思想を植えつけてるのでなければよいが……。
「ちゃんと体育もやるんですね」根岸はむしろ感心している。「健全な頭脳は健全な身体に宿るってわけですか」
「たぶんな。時間割を作ったやつに聞いてくれ」
「体育は運動場でやるんですか」太陽光の降り注がないあの空間をそう呼べればだが。
「そうだよ。雨の日がないからプログラムが崩れることもない」
「そうなると教室がすっかり空になる時間帯もあるわけだ」
「日下部さん、あんたの言いたいことはわかるぜ。その隙を狙ってロリコン野郎が体操着をくすねたってんだろう」
「内部の移動は比較的制限されてないようなので、そう考えるのが自然でしょう」
「でもそいつは無理なんだよ、わかるだろう。さんざん説明した通りうちは要塞なんだ。1か月間の攻囲戦を耐え忍べるほどのな」
「内部犯だ!」根岸が手を叩いて飛び上がった。「教師ですよ。連中の誰かが女子小学生の汗臭そうな服を盗んだんだ。そいつはいまこの瞬間にも、その匂いを嗅いで勃起してやがるんですよ」
どことなく彼自身が興奮しているように見えるのは気のせいだろうか……。
「遺伝子開発はあんたんとこが専門なんじゃないのか? 小児性愛抑制遺伝子とかいうくだらん商品があっただろ。あれのおかげでそれに関わる染色体の位置が特定されたとかいう話じゃないか。ここの教師はみんなあれをクリアしてるぜ」
誰だって自分の子どもがロリコンであってほしいなどと思うはずはない。この手の商品は後発の二流バイオテク企業が得意とする付加遺伝子商品である。こうしたアプローチはいわゆる受け身型であり、効能としては地味だが値段も安い。子どもに保険をかけたいと願う両親が好んで受精卵に組み込むしろものだ。ほかにもいろいろあって、ゲイ(あるいはレズ)抑制遺伝子とか、根暗抑制遺伝子とか、はたまたいじめ抑制遺伝子なんてのもある。
適当に羅列した効能からもわかる通り、この手の商品は本当に効果があるのか大いに疑わしい。こんなしろものをわざわざ入れなくたって、たいていの男女は二回りも歳の離れた子どもに欲情することはない。
長じて彼らが小児性愛に走らなければ遺伝子さま万歳だし、走ってしまえば契約書裏面の隅っこに3ポイントで印字された次の文句を見て、両親は訴訟を断念する。いわく、「本製品は必ずしも規定の効果を発揮することを保証するものではありません。効果には個人差があります」。
効果のほどが多分に怪しい小児性愛抑制遺伝子だが、これに抜け目のない学校法人たちは飛びついた。メーカーの主張によれば第何番めの染色体短腕Xqだかなんだかの変異がそれの原因だ、したがってそのか所を代替する正常な対立遺伝子を組み込むというのが効果の根拠だそうだが、換言すればその変異があるかどうかが小児性愛者かどうかの判断基準になる。
塩基配列のひとつがCだかGだかになったくらいで人間の性向ががらりと変わってたまるかというのはもっともな反論だし、実際にこの領域だけがロリコン(あるいはショタコン)をコントロールしているはずはない。
だがいまや「遺伝子」という言葉は本来の意味を見失ったまま暴走している。なんであれ遺伝子で決まるのだ。ロリコンだって例外じゃないし、それが正しいかどうかすら関係ない。学校法人がやるべきなのは、メーカーの主張している遺伝子座が正常な対立遺伝子になっているかどうかを教師の選考基準に組み込むだけでよい。それをパスした教師は「遺伝的に正常」という強力な免罪符を得たことになるのである。
「ここに雇われてる教師が全員、そいつをパスしたから大丈夫だってことですか?」わたしは語気も荒く、「ぼくには疑わしく思えますね」
「俺だってバカじゃない。俺が言いたいのは連中は遺伝子検査をパスし、かつこの学校で教鞭を執ってるってことだ。保護者からの突き上げがどれほどおっかないかあんたらは知らん。いっぽう教師連中は知ってる。あいつらからのクレームを考えただけで、乳臭いガキの汗が染みついた服なんざパクる気も失せるだろうよ」
座が静まった。近くの教室からは教師がなにやら熱弁している声が聞こえてくる。彼らは怯えているのだ。学校側の査定に、全国模試の結果に、そしてもちろん悪魔の化身たる保護者に。
「すると、つまり」森下さんが肩をすくめた。「どうなるんだ?」
「こっちも壁抜けの術を駆使した忍者の犯罪ってことですな」根岸はくすくす笑っている。
「日下部さん、あんたの意見はどうだい。めどは立ったんだろ?」おっさんは懇願するような調子で、「頼む、そうだと言ってくれ」
「ええと、どうですかね」数歩ほど後じさりした。「とにかくご協力ありがとうございました」
「首になったら恨むぜ、あんたを」
われわれはほうほうのていで小学校から逃げ出した。なんでこう誰も彼も、自分の首を自分でつなげようと努力しないんだ?
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