58人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫だったんですか?」
「まぁ、なんとかね。俺よりタケの方がやばいみたいだけど。タケの担任、怖いって有名だし」
「それ大丈夫なんですか?」
「それは分かんないけど自業自得だな」
笑った先輩は、武田先輩のことなんて心配していなさそうだ。
先輩たちの距離感ってこんな感じなのかな。
「そういえば俺、普段の会長のことよく分からないんですけど、いつもはどんな感じなんですか?」
気になって尋ねてみると、先輩は「普段の山﨑? そうだなぁ」と首を傾げながら考え込む。
「クラス違うから全部知ってるわけじゃないけど、あんま変わらないと思うよ。あのままの感じっつーか。たまにクラス行くけど、周りに人たくさんいて慕われてるみたいだし」
「そうなんですね。さすが会長ですね」
やっぱり会長は、普段もすごい人なんだ。たくさんの人に慕われてるってことは、それだけ努力をしているってことだ。
「あと、大人だよなって思う。俺らと同い年のはずなのに、考え方も全然違うし、かなり先を見て行動してるって感じするし。それにタケとは全然違う」
「確かに、武田先輩と山﨑先輩が同い年って感じがあんまりしませんよね。どうやったらあんなに冷静で大人っぽくなれるんですかね」
「ほんと不思議だよね」
「もしかして会長、年齢偽ってるんですかね?」
見た目は高校生だけど、中身は三十歳とか。だとしたらあの冷静さと大人っぽさに納得がいく、と一人勝手に想像していると、
「矢野くん、今日はやけに山﨑のこと話すね。もしかして山崎のこと気になるの?」
何を聞かれたのか一瞬理解が追いつかなくて、俺が固まっていると、さらに先輩は言葉を続けた。
「山崎のこと好きなの?」
真っ直ぐ見つめられて動揺する。
最初のコメントを投稿しよう!