16人が本棚に入れています
本棚に追加
第7話
感情が高ぶり、多聞と、そして跪いて多聞に奉仕を続けている柊一の姿が歪んで見える。
「それじゃあ、奉仕にならないぞ」
多聞は柊一の髪を掴むと、腰を突き出して強引に喉の奥までそれをねじ込む。
唐突な行為に柊一は顔を歪めたが、しっかりを頭を押さえつけられていて、咳込む事さえ許されなかった。
強引な行為で口腔を犯されている柊一は、苦しさで涙を滲ませている。
その悲痛な表情を楽しむかのように目を眇め、多聞はひときわしっかりと柊一の頭を押さえ込んだ。
「こぼすなよ? 全部、飲み干すんだ」
呼吸もままならぬ状況で大量の液体を喉に流し込まれ、柊一は思わず多聞を押しのけるような仕草の後に、床に手をつき噎せかえった。
「飲めと言ったのに、箱入りはこれだから」
咳き込み続ける柊一の身体を乱暴に床に突き転ばせて、多聞は引き裂くように着衣を脱がせると、そのしなやかな肢体を俯せにして抑え込んだ。
多聞の手が、柊一の双丘を割って体内に指を穿つ。
「…ひ………ぐぅ…」
小さな悲鳴を上げながらも、柊一は多聞の為すがままになって抵抗をしなかった。
そんな柊一の姿を目の当たりにして、広尾は気が狂いそうだった。
広尾にとって柊一は、聖域と言っても過言ではない。
その柊一が、あろう事か男に犯されている。
それも、広尾の命を救う為に。
自分が守るつもりだった筈の柊一が、今、自分の目の前で犯されている。
「貴様、殺してやるぞ。絶対に息の根を止めてやる!」
多聞を睨み付けたまま、広尾は唸るように呟いた。
「オマエ、コイツに惚れているのか?」
そんな広尾をあざ笑うような視線をよこした多聞が、からかうような口調で言った。
「な、なんだとっ!」
「まるで、自分のオンナを輪姦(まわ)されている男みたいだぜ?」
げらげらと笑う多聞に対して、広尾は咄嗟になにも言い返す事が出来なかった。
「ば…馬鹿げた事を言うなっ! 貴様、どこまでその人を嬲りものにするつもりなんだっ!」
「なにを言うかと思えば…。言っておくが、コイツは俺の玩具だ。それも、コイツが望んでそうなっているんだぞ」
「柊一さんが、そんな事を望む訳がないだろう!」
「俺はそれほど、ヒマをもてあましている訳じゃない。コイツが仇と称して俺に挑んでくるのを、いちいち相手にしてやっているんだ。殺さずに構ってやっている代償として、俺の慰み物になる事は、コイツ自身も承知しているんだがな」
「まさか…!」
多聞の言葉は、既に一度は柊一を蹂躙している事を、暗に物語っていた。
「今日はおとなしいからな、この間みたいに酷くはしないでやるぜ? まずは、一度は男を知っている方からにしてやろう。思い出せるようにな」
柊一の身体を起こすと、多聞は、柊一と広尾が向かい合うように態と自分に背中を向けさせた形で柊一の身体を抱き、指でさんざんほぐしたそこに、いきり立った己のものを突き立てた。
「あぁぁっ!」
身体を仰け反らせ、全身を震えさせながらも、柊一の悲鳴には嬌声じみた響きも混じっている。
「ああ、でも俺を楽します前に、オマエが楽しんでは意味がないからな。さぁ、これで可愛いそいつに戒めをするんだ」
多聞は、取り出した細い紐を柊一の手に渡す。
「な…なに…を…?」
「前にもしてやっただろう? なかなかイケない方が、楽しめるって事、忘れたのか?」
「…い…いや…だ!」
表情を強ばらせ、思わず拒絶をしようとした柊一に、多聞は冷たい視線を当ててくる。
「俺は、それでも構わないんだが…?」
「…ふっ…」
その度に、己には抗う術がない事を再確認させられては絶望的な顔をする柊一を、多聞は心底楽しんでいた。
多聞の進入に、思わず萎えかけていた己のそれに手渡された紐をかけて、柊一は震える手で根本に戒めをつける。
「そんなに緩くちゃ、縛った意味がないだろう」
柊一の手を取り、多聞は結び目をより強く締め上げた。
「い…っ!」
痛みに、柊一は表情を歪める。
「さぁ、四つん這いになって、今度はこっちで俺に奉仕するんだろう?」
のろのろと手を突き、柊一は多聞に言われるままの姿勢になった。
「ほら、もっと腰を振らなけりゃ、なぁ」
「…ひぁ…っ、あ…あ…っ!」
激しい動きで多聞が柊一の身体を揺すり上げるたびに、粘着質で淫猥な音が室内に響く。
それに混じる柊一の悲鳴は、いつしか濡れた喘ぎに変わっていった。
「柊一…さんっ…」
床に爪を立て、必死になって耐えている柊一の姿に、広尾は戸惑っていた。
多聞に対する憤りは、最初の時から何ら代わりがないが。
その多聞に投げつけられた一言が、広尾の、柊一を見る目を一変させてしまったのだ。
心ない大人達から柊一を庇い、なんとかして手助けをしてやりたいだけだった筈なのに。
今の自分は、多聞に蹂躙される柊一に、欲情すら覚えている。
「やめろ…、やめてくれぇ!」
頭を左右に激しく振り、広尾は絞り出すような声で叫んでいた。
「やめてくれ、とさ。こんなに熱くされた後じゃ、その方が酷ってもんだよなァ?」
「あ…あぁ! い…っくぅ…」
全身を戦慄かせた柊一は、しかし熱を解放する事が出来ずに身悶えた。
「柊一さん! 柊一…っ!」
喘いでいる柊一の身体を抱き起こし、多聞はますます見せつけるようにして広尾の前に柊一の姿を晒す。
「オマエ、知っているか? なぜ俺が、コイツを玩具と呼ぶか。ちゃんと、理由があるんだぜ?」
「い…やだ…、文明に知られるのは…」
今まで、これといった抵抗を殆どしなかった柊一が、不意に必死になって多聞から逃れようとする。
「なに言ってんだ。オマエはこれから、ソコでアイツに奉仕してやるんだよ。アイツも喜ぶぞ、何せオマエのソコは、まだ男を知らないんだからなぁ」
柊一の腕を取ると、多聞はそのまま背中の方へとねじ上げた。
最初のコメントを投稿しよう!