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「おいしい」
プゥはにっこりと笑う。プゥが山盛りに乗せたベーコンの皿から、3枚のベーコンをフォークで刺して、一気に口に入れた。
「ジャムも好きなだけ塗っていいぞ」
「へへへ」
そう笑いながら、遠慮なくたっぷり苺ジャムを乗せる。普段は俺が「つけすぎるな」と注意するので、適量で我慢していた。
さくさくとトーストを口にし、全て平らげたあと、プゥはポリンピー星からやってきたばかりの、カラーボックスにしまってあった当初の服に着替えた。
「翔真、またお庭に行こう」
「ああ」
生まれたてのような、朝日の日差しが草木に降り注ぐ。秋の匂いが混じった空気だった。
俺とプゥは手を繋ぐ。
「宇宙で1番、翔真が大好き」
プゥが満面の笑みを見せる。
「お別れなんかじゃないから。また、地球に来るよ」
「今度は俺がプゥのところに行くよ」
お互いしばらく抱きしめ合って、そして、身体を離した。
柔らかな日差しに照らされながら、プゥは何語とも分別がつかない、言葉のような、音のような、音楽のようなものを口から発する。
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