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1.天変地異
カーテンを開けたら灰色の空。テレビをつけると天気予報は曇り。
冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出し流し込んだ。酸味が少なく苦味の強いこのアイスコーヒーは、目覚めの1杯に最適で毎日飲んでいる。
いつも通りの通学路をいつも通りの歩幅で歩く。白いガードレールの下に生い茂る雑草が足元を撫でた。
今日の科目は数学と生物と、そういえば体育もあった。怠いな、と思いながら校門をくぐる。
席に着けば友人の悠斗がやってきて購入した新作のゲームの感想を語ってきた。あまり好きじゃない体育をゆるくこなし授業もいつも通り真面目に聞いて帰ってくる。
家に帰ったら宿題をして受験に備えて勉強を重ね、インスタントラーメンを茹でて食べて、風呂に入って寝る。いつも通りそうやって終わると思っていたのだ。
開いたままのカーテンの窓から聞いたことのない妙な音がしたと同時に、金色の線を描いた、
そんな信じられない光景を見るまでは。
気づかぬうちに歯ブラシが手から離れ、地面に落ちていた。急いで口をゆすぎ外に出る。
俺の家の庭にカプセル型の乗り物があった。あたりは金色の眩い光を放っている。何事なのか全く処理が出来なかった。
乗り物から降りてきたのは女だった。
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