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やっと発煙が収まったようだ。
2人でワープカプセルを押しながら木の陰に移動した。明日これを穴を掘って埋めるつもりだ。今日やるには、気力が1ミリも残っていなかった。
「プゥはまず、体が埃まみれだから風呂に入りな。沸かすから待ってて。でも人間みたいに風呂入ったりしても大丈夫なのか?食べ物は…」
次から次へと浮かぶ心配事が口から出る。プゥが遮って言う。
「地球知ってる。多分私、ニンゲンとほとんど変わらない。食べ物も風呂っていうのもきっと大丈夫。ありがとう翔真」
プゥが抱きついてきた。柔らかい癖っ毛が頬を掠めてこそばゆい。
頭に生えた触覚がゼリーのような質感だったのがその時に分かった。
風呂を沸かしている間プゥはリビングの黒い皮のソファに座っていた。
「地球ってスゴい。こんな椅子に初めて座ったよ」
プゥがギシギシとソファを揺らす。
「おい、ソファ壊れるからやめてくれ」
「ごめんなさい。あまりにも不思議すぎでついつい」
「お前のほうが不思議だよ」
俺はブルーのバスタオルを手渡した。
「乾燥機で乾かしたばかりだから」
「うわぁ、ふわふわですんごくいい匂いがする」
プゥはバスタオルに顔を埋めた。
「服は女物がなくて俺の服になっちゃうけど」
「ありがとう、翔真」
「風呂の入り方分かる?宇宙人は風呂入るのか?」
プゥは渡した白いTシャツと黒のショートパンツを抱えて首を縦に振った。
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