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第1話
「まり、おはよう。今日は朝早いんだね。」
「おはよう。昌大。社外でのプレゼンがあるのよ。部下とその打ち合わせ。いちいち指示してやらなくちゃだめな部下だから。」
「そうなんだ。」
昌大は席について私が用意しておいたハムトーストとブラックコーヒーを口に運び始めた。普段はスマホで新聞を読みながらの朝食だが、今日は画面を下に向けてテーブルに置いてある。
「明日は私少し出社が遅いから、朝ごはんの用意お願いできる?」
「うん。もちろん。」
我が家は夫婦ともフレックスタイム制の会社に勤めているため起きる時間がその日の仕事によりまちまちだ。なので朝食は先に起きた方が2人分用意する。今日は私が用意した。私も昌大の向かいに座り、朝食をとる。すると昌大のスマホが鳴った。バイブにしてある。
「スマホ、鳴ったよ。」
「そうだね。」
昌大はスマホの画面を確認する。私の方を一瞬見た後、文字を打った。きっとLINEの返信だろう。それから10分ほど経って、朝食を食べ終えた昌大はトイレへ行く。以前は家の中での移動であれば携帯はテーブルに置いていた。けれどここ最近はずっと持って移動している。今日もそうだ。当然ながら、違和感を感じている。これはもはや不倫の兆候の代表格ではないか。私はここ数日ずっとそう思っていた。しかし今日も仕事がある。気になりつつも、会社に行った。
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