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「ねぇ、新山さん。」
「なんですか? 河山係長。」
「唐突だけど、俺と付き合ってほしいんだ。」
「え⁉︎」
「俺には夢があるんだ。大きく変わり映えのない日常を送っているんだけど、その毎日に花が添えられているような、そんな日常を送りたい。その日常を、新山さんとなら手に入れられるような気がするんだ。だから俺と付き合ってほしい。」
「…」
「だめかな?」
「…いえ、嬉しいです… これからよろしくお願いします。」
こうして俺とまりは交際を始めた。幸せな日々だった。いつからか、まりは化粧や服装を俺の趣味合わせてくれていた。あまりにも自然に合わせるものだから、いつから俺の好みに合わせていたのかも気づかなかった。そういった気遣いが嬉しくて、まりの誕生日や交際記念日は何かプレゼントを用意し、少し盛大に祝った。特別だからとその日だけ労力をかけるのは好みじゃなかったが、喜んでくれるまりを見るのは嬉しくて、そんなこだわりは一時的に忘れることができた。そして2年弱の月日が経過した。
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