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「河山、どうだ? まりちゃんとは熱い毎日を過ごせてるか?」
江沢はしょっちゅう俺とまりの近況を聞いてくる。正直鬱陶しいが、俺とまりを結びつけてくれた男だ。無視するわけにはいかない。
「別に? 普通の毎日だよ。」
「なんだ、飽きちゃったのか?」
「そんなことないよ。まりの事は愛してる。」
「そうなのか?」
「ああ。俺は何気ない日常を、楽しく、何十年も過ごすのが夢なんだ。だからこれでいい。」
「へぇ、変わった奴だなぁ。」
「お前にはわからないよ。」
「まぁ2人ともそれで満足ならいいけどさ。でも気をつけろよ。あんまりお前がまりちゃんをほったらかしにしてたら俺がもらっちゃうからな。」
「何言ってんだ。お前はもう既婚者だろ?」
「へへ、冗談だよ。」
江沢が言ったことはそこまで深く考えた上での発言じゃなかっただろう。でも確かに結婚もしていない現状で盛り上がりに欠ける日常を過ごしていたらまりにはほったらかしているように見えるかもしれない。この頃から俺はまりとの結婚を意識し始めた。そしてその1ヶ月後、まりを泊まりがけのデートに誘った。ホテルは予約が取れずビジネスホテルになってしまったが、上等なディナーを用意した。そして、ホテルから一応夜景を見ながらプロポーズした。俺らしくない、特別感のある瞬間だった。まりは目を輝かせ、俺からのプロポーズを受けた。
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