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第24話
「FRスタッフから参りました。山下 梓です。みなさんよろしくお願い致します。」
今から約3年前、梓が安谷機器に派遣されてきた。以前から俺を含め多くの人が言っていた派遣を増やす案が通ったのだ。
「なぁ、今日から来た梓ちゃん、お前の好みなんじゃないか?」
まりが派遣されてきた時と同じようなテンションの江沢に絡まれる。
「そうだな。見た目は大分好みだ。けど俺にはまりがいるし、好みだからといって特別な事はないよ。」
まりに不満を覚えつつも、この頃は不倫なんて考えてもいなかった。まりはまた日常に花を添えてくれる。どこかでそう信じていた。
「河山さん、よろしくお願いします。」
梓が俺に挨拶をする。席は俺の向かいだ。
「梓ちゃん、変な気起こしちゃだめだよ。こいつにはまりちゃんっていう愛する奥さんがいるんだから。手を出すなら俺にしときな。」
「あはは。江沢さん面白いですね。」
「まぁ江沢さんも奥さんいますけどね」
江沢は宇山さんの方を見てそれを言うなと言いたげな顔をしていた。その日の夜は梓の歓迎会が行われた。梓はその頃から男性社員に人気があったようで、他部署からも何人か参加していた。
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