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「おはよう、羽柴くん。」
「おはようございます。河山課長。プレゼンの打ち合わせ、10時からお願いします。会議室は確保しておきました。」
「そう、助かるわ。」
打ち合わせもプレゼンも滞りなく終わった。羽柴くんへの指導に1時間も使ったことを除けば。そして取引先のオフィスビルを出る。
「アコーラさん。本日はありがとうございました。」
「こちらこそ貴重なお時間いただきありがとうございました。是非弊社商品をご検討お願い致します。」
良い感じのおじさんだ。
「あのおじさん、不倫してますね。」
「え?」
同席していた営業部の間谷さんが口に出した。羽柴くんがそれに反応する。
「やっぱそう思いました?」
「うん。ありゃ不倫してるね。」
私は疑問に思って聞いた。
「間谷さん、どうしてそう思うの?」
「あのおじさんが鞄開けた時、ちょっとお高い下着屋の包装が見えたんすよ。あの人の娘さんにはまだ早すぎるし、もうすぐ50の奥さんに買うような下着でもない。たぶん年下の不倫相手へのプレゼントですよ。たぶん中身はおじさん好みの下着だ。」
「よく見てるのね。そしてよく知ってるんですね。」
「俺もこの前まで付き合ってた彼女にあげたんで。あそこの下着。」
「別れたんですか?」
「ええ、浮気がバレまして。」
「あらまぁ。」
「通知オンにしたまま彼女の家でスマホ放置してたのがいけなかったんすね〜。これからは肌身離さず持ち歩きます。」
「浮気癖を直す気はないのね。」
「男の性なんで。」
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