傾城

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遊郭。 ここは昔、武士や商人たちが遊女達から遊びや数多の奉仕を受ける場所。 独特な文化やマナーが生まれた隔離された世界でもあった。 この世界で今日も一興楽しむのは王蛇城の殿様、大和 案山子(ヤマト カカシ)であった。 多くの武士家来を引き連れ、遊郭の中で大騒ぎだ。 「さぁ、歌え、踊りたもう!」 銭が中央を舞う。そして大きな牙とヒゲを自慢げに遊女達に触らせる。 「ぬはああぁ!わしはそんなんでは満足しないぞ!もっと満足させてみろ!」 大和の声で周囲の三味線は強く鳴り響き、酒は注がれ、女が膝の上に転ぶ。 「殿!」 「なんだ蒼大庄(あおだいしょう)!」 「隣の蛙城の武士たちが不穏な動きを見せています。」 「…蛇に挑む蛙か。東の橋を崩落させろ!作戦が、規模が違う事を見せつけるんだ!」 「…しかし…あそこを崩壊させては。復旧には莫大な費用と時間が。」  「他の者からの取り上げろ。税を上げてな。ぬはは!心配するな!」  蒼大庄の心配をよそに殿は大盤振る舞いだ。 しかし、ド派手な作戦は成功をし蛙城による進撃は阻止。相変わらず力を見せつけた。 そんな殿様。城に帰るその時だ。 「何だあれは!?」 城の入り口で横になり何かを咥える動物が。 「…狐です…直ぐに追い払い…。」 蒼大庄は刀を抜こうとするが、大和は籠の中で大あくびだ。 「よいよい。狐など放っておけ。力も血の掃除も面倒だ。」 殿は運ばれる籠でごろ寝だ。狐は通り過ぎていく将軍と武士たちを見つめて、離れていった。その口にはネズミがくわえられていた。 そして近くいた別の狐と共に去っていく。
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