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「花束を渡されているよ。あれって、ほら、映画の撮影とか終わった後に渡されるやつかな」
「公開近いのかな」
「観に行きたい?」
私は黙って首を横に振った。
千紘には頼もしい彼女がいる。
私はそっと遠くで千紘の活躍を見守っていこう。
千紘は最高のパートナーをあの夜に見つけられたんだね。
それが私を傷つけたとしても、結果的に千紘の新しい夢が叶ったなら、本当に良かった。
私は強い海からの風に吹かれて乱れた蓮見さんの髪に気がつき、そっと直してあげた。
「ありがとう、緋奈」
「行こ」
「ああ」
私達は微笑み合ってしっかりと手を繋いで歩き出した。
千紘、がんばってね。
さよなら。
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