エピローグ

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エピローグ

その後、宿に帰って美味しいご飯を食べた。 夜、部屋付きの檜の露天風呂で温泉に浸かる。 ふたりきりで見上げる早春の夜空には黄金色の月がまるく浮かんでいる。車の音も聞こえない、静かな夜だ。 温泉の気持ち良さに浸りながら月を眺めて 近い未来を想った。 千紘は映画スターになって、 私は蓮見さんのお嫁さんになって、 それぞれの道を生きていく。 ちらっと隣の蓮見さんを見た。長い睫毛が月を眺めている。 蓮見さんはきっと自分からプロポーズをしてくれないような気がする。過去の、失敗から。 だから、私からプロポーズしてみようかとふと思い立つ。 そうだ。 家に帰ったら久しぶりにアレを使ってみようか。
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