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「うん。私も陽性かもしれないし、隆行に移したら大変じゃん。だから極力距離を置きたかった」
手を握るのもキスも、それが原因で拒否していたんだ。
「機密事項だから人には言えないし」
「ごめん。明日香がそんなに大変だったのに、俺、自分勝手な妄想ばかりして、嫌われたんじゃないかとか考えてた」
「自分勝手なのは私も一緒」
「えっ?」
「私ってさ、キャピキャピしたノリとかできないし。それに、素直じゃないから」
腕を伸ばし、ブクブクとメロンソーダを泡立てる明日香。
「電話もメールも、なに話せばいいか分かんなくて、極力避けてた」
「その割に、会場で思い切り好きって言ってくれたね?」
「うるさい! 隆行のことほっとけなかったし。絶対に成功してほしかったし」
机を叩き頬を膨らませる明日香だが、思い出したかのように表情を柔和させ、俺を見つめた。
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