ツンべルキア

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いよいよ出港の日が来た、リリー達が乗る船は、第二サルタン号と言い その船長は、ペンタスと言った。 ペンタスは、乗組員を集めて「皆、この五人は、一級の魔物退治人だ。 航海中は、大いに世話になる、丁重に、世話をしてくれ、頼むぞ」と リリー達を、紹介した。 「分かりやした」どの男も、赤銅色に日焼けした、逞しい体の持ち主だった。 大きな帆を、三つも張って、船は、大海原を、滑るように進む。 「良い風だ、波も高く無いし、今日は、かなり進めるぞ」 船乗り達は、嬉しそうに、そう言う。 あっという間に、陸地は見えなくなって、周りは青い海しか無い所を進む。 暫く、美しい海を眺めていたが「おっと、おいでなすった」 クラゲみたいな魔物が、甲板に、大量に出て来て 長い、くにゃくにゃした手で、攻撃して来る、その手に触ると 痺れてしまう「全員、お眠りっ」モカラが、ひゅんっと鞭を振り 眠り打ちで攻撃した、半数は、眠ったが、半数は毒の海水を吹きかけて来る。 「大車輪切りっ」ディゴが、一気に片付ける。 全部やっつけたと思ったら、また、エイに似た魔物が出て来た。 「前に戦った者より、大きいな」それでも レベルが上がっているリリー達の、敵では無かった、直ぐに倒してしまうと 「凄いな~あんた達」「さすが、船長が見込んだだけは有るな」 乗組員は、目を丸くして、頼もしげに見る。 貝の様な魔物は、殻に閉じこもると、防御力が高く、物理攻撃は効かないが リリーの、ファイヤーやサンダーには、弱かった。 墨を吐いて、目つぶしして来る、蛸みたいな魔物、海藻みたいな魔物は サンダー攻撃をして来て、皆を吃驚させるなど、色々な魔物と戦い 一日は暮れた「退治人さん達、お疲れ様でした、風呂に入って、夕飯を食べて船室で、ゆっくり寝て下さい、また、明日も頼みますよ」船長は、そう言うと看板に、魔物除けの篝火を焚き、夜も航海を続ける。 「船長、魔物除けの篝火、持っていたんですね」モカラがそう聞くと 「ああ、だが一日中、焚いていては、いくら有っても足りないからな~ 夜だけにしているんだよ」そう言った船長は、魔物除けの篝火は 次に寄る島でしか、手に入らないが 高いうえに、売っている数は少ないと言った。 「何しろ、航海する船の殆どが、買いに来るからな~無い時が多いんだ」 「そうでしたか」あの氷の森のお爺さんは、その島の出身かも知れない リリー達はそう思った。 翌日、船は、魔物除けの篝火を売っていると言う、キリと言う島に着いた。 リリー達も、何か、目新しい物は無いかと、上陸してみたが 魔物除けの篝火以外は、変わった物は無かった。 船長は、篝火を手に入れる事が出来たと、喜んで船に帰って来た。 それから三日後、船長が言っていた、誰も居ない大陸に着いた。 海ぎりぎりまで、森が迫っていて、浜辺は、真っ白だった。 森の中に、小屋が建っている「俺達が作った小屋だ、中には、井戸も有って 旨い水が飲める」そう言う乗組員たちは、その小屋で、雑魚寝すると言う。 「この大陸で、何をするんですか?」ディゴが船長に聞くと 「珍しい、動物を捕まえるんだ、持って帰れば、高く売れる。 それと、珍しいフルーツや、香辛料もな」 「フルーツや、香辛料は、分かりますが、動物もですか?」 ジュランタが、意外だと言う顔で聞く。 「ああ、だけどな、この大陸にしか無い食べ物で生きている奴や あまり、数が、いない動物は、外しているんだ、生命力が強くて 少々持って帰っても、大丈夫な奴だけにしている」 船長はそう言うと「俺達は、十日程、ここらに居る、珍しい湖を見たければ ここから、真っすぐ西に行くんだ、だが、絶対十日までに帰って来いよ。 帰って来なくても、俺達は、出航するからな」と、言う。 「はい、もし十日経っても、帰らなかったら、出航して下さい。 私達は、魔法で、帰れますから」リリー達はそう言うと、西へ向かった。 森は、ますます深くなり、日中なのに薄暗い。 「足元に気を付けて下さい、毒虫が居るかも知れません」 クロッカスが、そう注意する。 森の中には、見た事も無い美しいトカゲや、小さな鳥や、大きな鳥 小動物や、珍しいサル等、色々な動物に出会って、目を奪われる。 そんな動物に混じって、魔物も居るのだが リリー達に攻撃をして来る事は無い「人を知らないからかな~」 「そうかも知れないわね」皆は、魔物には、気付かぬ振りをして、通り過ぎる やがて、湖に着いたが、そこは、普通の青い湖だった。 「ここで、休憩して、昼食にしよう」皆は、湖のほとりで、焚火を焚き リリーのスープと、パンで、昼食を食べ、途中で、もいで来た 船長に教えて貰った、食べても良い果物を、食後に食べる。 「わぁ~甘くて美味しい!!」「それに、とっても良い香りだ」 皆は、南の国のフルーツに、舌鼓を打つ。 その時「何か來るっ」変な気配を感じた、ディゴが、音がした方を見る。
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