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このエルダーの母、カメリアは、若い頃、アジュガと共に
魔物退治の旅をしていた事が有り、歳を取った今も、仲が良かった。
だが、住んでいるのは、ガザを通り越し、もう一つ山を越えた先の
バィールという街だったので、足腰が弱ったカメリアは、会いに来れず
こうして、娘のエルダーに、アジュガの様子を見に来させているのだった。
「三人共、元気で安心したわ」エルダーはそう言うと
アジュガから貰った、干し鮑や、キノコ、リリーが海に潜って獲って来た
大きな海老、5匹と、ジニアが、取って来た、大きな岩牡蠣を貰って
「また来るからね~」と、帰って行った。
それから、二カ月ほど経った日、山から帰って来たアジュガは
突然、胸の痛みを訴え、何をする間もなく、息絶えた。
「お祖父ちゃ~ん」リリーとジニアは、アジュガに取りすがって泣いた。
散々泣いた後、リリーは、きっと顔を上げると、ジニアに留守を頼み
ガザの食堂の女将さんに、アジュガの死を知らせ
どうしたら良いかと、聞いた。
驚いた女将さんは、役所に行って、アジュガの死を届け
「後は、役所の人が、何でもしてくれるから、お前は、このまま帰って
祖父ちゃんの傍に、付いていると良いよ」と、優しく言った。
女将さんの言葉通り、役所の人が来て、アジュガの葬儀を済ませてくれた。
リリーは、アジュガの骨を、両親が眠る墓の横に、埋葬した。
孤児になった二人に、役所の人は、これからどうする?
親の居ない子供が行く、施設に入るか?と聞いたが
リリーは「何か有ったら、バィールに居るカメリアと、エルダー小母さんを頼って行けと、祖父が言っていたので」と、施設に入る話は断った。
もう、頼りになるお祖父ちゃんは居ないのだ。
これからは、私がジニアを守らなくては、リリーは、二度目の決心をした。
一度目は、母が死んだ時、これからは、私が、ジニアの母代わりになろう
そう決心していたのだ。
二人は、着がえ等の身の回りの物や、お気に入りの物をリュックに詰め
当座の食べ物になる、干した貝や魚、残っていたパンなどを手提げに詰め
三人のお墓の前で「行ってきま~す」と、手を合わせてから
元気に、歩きだした。
ガザの町までは、結構歩く「ジニア、大丈夫?」リリーは心配したが
「平気よ、私、もう8歳なんだから」ジニアは、リリーに心配させまいと
速足で、歩きながら言った。
ガザの町に付くと、食堂の女将さんに、お礼を言いに寄った。
「これから、小母さんの所へ行くのかい、気を付けて行くんだよ」
女将さんは、二人に、美味しい昼食を、ご馳走して呉れた上に
おやつだと、肉をたっぷり挟んだ、サンドイッチまで、持たせてくれた。
「有難うございます」二人は、丁寧にお礼を言って、女将さんと別れた。
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