14人が本棚に入れています
本棚に追加
森を進むリリーの目からは、堪えても堪えても、涙が落ちる。
それを振り払うように、リリーは速足で歩き続ける。
そんなリリーには「俺は、ただのきこりだから、何もしてやれないが
訪ねて行くカメリアと言う人は、魔物退治の旅をしていたんだろ?
だったら、ジニアを、元に戻す方法を、知っているかも知れないぞ」
そう言ったクレソンの言葉だけが、希望だった。
早く、小母さんに会って、ジニアを元に戻す方法を、聞かなくっちゃ。
そう思うと、足の疲れなどに、構ってはいられなかった。
やっと森を抜け、暫く歩くと、バィールの街が見えて来た。
リリーは、駆けだした、そして会う人、だれかれ構わず
カメリアとエルダーは、どこに住んでいるかと、聞いて回った。
やっと、二人を知っていると言う人に会い、教えて貰った家に走る。
「小母さん!!エルダー小母さん!!」リリーの叫び声に
「リリーじゃ無いか、一体どうしたんだ?」エルダーが、驚きの顔で出迎えた
「小母さん、、、」リリーは、エルダーに抱きつき、わぁっと泣き出した。
「よしよし」エルダーは、リリーの背中を撫でて、落ち着かせてから
カメリアの所へ連れて行き「母さん、この子がリリーだよ」と言った。
「まぁ、この子が、、どことなくアジュガに似ているね~」
カメリアは、感慨深そうな目で、リリーを見て言った。
そして「一人で来たのかい?」と、聞いた二人は、リリーの話に驚愕した。
「アジュガが、死んだって!!」それにも驚いたが
自分達を頼ってくる途中で、妹のジニアが、松の木にされたと言う話には
もっと驚き「何と言う事だ!!」と、拳で、床を叩いた。
「小母さん、ジニアを元に戻せる、方法、知りませんか?」
リリーは、縋る様な目で、カメリアに聞いた。
「残念だけど、私が使える魔法は、人の怪我や、毒を治すと言う
癒しの魔法だけなんだよ」「そうですか」希望の光が消え
がっかりしたリリーは、体中の力が抜けた。
「母さん、そんな魔法が使える、他の魔法使いを、知らないの?」
エルダーが、そう言うと「そうだね~そんな魔法が使えるのは
キャドラに住んでいる、モルセラくらいかね~」と、カメリアが言った。
「キャドラって、どこに有るんですか?私、行ってみます」
リリーは、もう、リュックに手を掛けて、そう聞いた。
「まぁまぁ、今日は、もう遅い、しっかりご飯を食べて、ゆっくり寝るんだ」
エルダーはそう言うと、リリーを風呂に入れ、夕食を、ご馳走してくれ
自分のベットに寝せた。
昨夜、あまり寝ていないリリーは、お腹一杯のご飯と
温かな風呂と、優しいエルダーたちの心使いで、ぐっすり寝る事が出来た。
それを見ながら、エルダーは、せっせと赤いマントを縫っていた。
カメリアも、大きなリュックや、地図や、乾燥した薬草を、取り出していた。
最初のコメントを投稿しよう!