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皆は、驚きの声を上げた、中でも、リリーの驚きが一番大きかった。
その魔法使いは、ジニアを木にしてしまった、あの魔法使いに違いない。
やっと、やっとジニアの仇が取れる、ジニアを元の姿にしてやれる。
「そ、その魔物は、何処に?」リリーが咳き込む様に聞く。
「西の森を超えた先の岩山に、古い城が有ってな、そこを根城にしておる」
「では、直ぐに」「行ってくれるか、これ、誰か、案内を、、」
「はっ、私めが」そう言ったのは、立派な身なりの騎士だった。
「では、サイネリアに頼もう」「ははっ」そう言ったサイネリアは
「皆さま、こちらで御座います」と、リリー達を案内したが
そこは食堂だった「その古い城までは、かなり歩きます。
まず、腹ごしらえをして下さい、これ、この方々に、お食事を」
「はい、サイネリア様」食堂に居た女達が
手際よく食事を作り、皆の前に並べた。
美味しい食事を済ませ、お茶を飲んで、一服してから、皆は、城の外に出た。
そこには、6頭の馬が用意されている。
「森の道は狭く、馬車より馬の方が、進みやすいです」と、サイネリアは言う
「でも、必要な物も有りますし、馬車で、行ける所までは、馬車で行きます」
クロッカスは、そう言って、馬車に乗って、皆の後から続く。
クロッカスが乗る筈だった馬は、お供の人が乗って、馬車の後に続いた。
森の中ほどまで来ると、道幅は、急に狭くなった。
クロッカスは、そこへ馬車を置き、お供の人が、馬車の番をする為に残り
クロッカスは、大きなリュックを背負って、馬に乗り、皆と共に進む。
夕方になって、やっと森を抜ける所まで来た、目の前に広がる岩山の
はるか向こうに、高くそびえる古城が見えた。
「あそこに、、」リリーは、ぎゅっと両手を握りしめた。
「今夜は、この森で、野宿しましょう、夜中の岩山は、とても危険ですから」
サイネリアがそう言うので、その夜は、魔物除けの篝火を焚いて
炊事用の火も焚き、何時ものリリーのスープと、食堂の人が持たせてくれた
焼肉と、野菜のトマト煮を温めた物で、お腹を満たし、それぞれの場所で寝る
「リリー、眠れないだろうけど、しっかり眠らないと、明日、戦えないわよ」
モカラが、何度も寝返りを打つ、リリーに声を掛ける。
「そうね」そんなリリーに、クロッカスが、よく眠れるお茶を淹れてくれた
「有難う」それを飲んで、気持ちが落ち着いたリリーは、やっと眠れた。
朝になり、朝食をとった皆は、岩山へと進む、岩山の所々には
場違いな木が、二、三本ずつ、いたる所に立っていた。
「これが、魔物に木にされた、我が国の兵士達です」サイネリアは
悲しさと、悔しさが入り混じった顔で、そう言った。
「何と、、」「これが?、、」ディゴ達には、信じられ無い事だった。
リリーは、きっと唇を噛んだ。
「しかし、魔物は、一匹も出て来ませんね」モカラがそう言うと
「全部、城の中に居るんです、我々が、どんなに攻めても
城の一階までしか、行けませんでした、魔法使いだったと言う魔物の
顔さえ見る事は出来ていません」サイネリアは、そう言った。
皆は、城の手前で馬を降り、歩いて城へ向かい、門の中へ入った。
途端に、わっと魔物が押し寄せて来る「ギガサンダーっ」
リリーが、最強の雷の魔法を唱え、魔物たちを一掃する。
もう、7段になったリリーは、ギガの魔法を使っても、体はびくともしない。
消えた魔物のビーンズを乗り越えて、次の魔物の集団が、襲って来る。
「魔人の怒りっ」ディゴの必殺技で、全部やっつける。
「凄いぞ、アジュガの剣は、最高だ」ディゴが、嬉しそうに言う。
次は、ジュランタの「乱れ突きっ」モカラの「爆裂拳っ」で、次々と
出て来る魔物をやっつける「凄いっ!!」サイネリアは、唯々驚きの目を瞠る
一階に居た、全ての魔物を倒し、二階へと向かう。
二階の魔物は、一階の魔物より強かったが、リリー達の敵では無かった。
二階の魔物も、全てやっつけ、三階へと進む。
三階の魔物は、さすがに強かったが、リリーの倍速の魔法と
アジュガの剣と、ジュランタの風神の槍で、全てやっつける事が出来た。
いよいよ、最上階だ、その扉を開けると、人と獣が合体した様な
醜い、巨大な魔物が、待ち構えていた。
「良く、ここまで来れたな、褒めてやろう」魔物は、気味の悪い声で言った。
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