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5章 答案用紙
次の日、岡田が職員室で書類を作成してると、後方で女子達が騒いでいる声がした。振り向くと英語の鈴木先生に数人の女子達人詰めよっていた。
「鈴木先生から太田さんに注意して下さい。」
鈴木先生は、いつも英字新聞を読んでいる絵に描いたような紳士だったが、今困っていることは直ぐに分かった。
「どうしたんですか。」
鈴木先生の話は、聞いてくれと言わんばかりに話はじめた。太田の英語のテストについてだった。一丸高校は進学校であるため、英語は成績で上下のクラスに別れていた。太田は、下のクラスに在籍したが、成績の良い男子生徒宅で一緒に勉強し、学年2位になったようだ。男子生徒の家で、ということに嫌な予感がする。その男子生徒には校内に彼女がいるらしく、彼女が太田が彼氏に取ろうとしていると周りに言っているらしい。下のクラスの太田がいい成績をとったのは家で一緒に勉強した証拠だということだ。そこまでは分かるのだが、なぜか太田はその良く出来た答案用紙を教室のゴミ箱に捨てたらしい。鈴木先生曰く、太田は真面目で、男子生徒の家に押し掛けるようには見えないと言う。鈴木先生は、先日、太田と男子生徒を職員室に呼び出し、仲良くしないように注意したと話した。
岡田は、最近太田という女子生徒に振り回されているように感じた。太田は真面目で控えめな印象であるが、答案用紙を捨てるような大胆で行動をする生徒のようだ。
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