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「ねぇ、フィフィがまたお友達に言ってあげようか? オリバーをいじめたら承知しないわよって」
「遠慮しとくよ、街が大騒ぎになっちゃう」
「でも……オリバーのために何かしたいのに」
彼女は実際に、村の子どもに話をつけに行ったことがあるのだろう。こんな外見の女性が家に訪ねてきたらと想像すれば、村人たちの怯えた態度にも納得がいく。
「やめておきなさい、フィフィ。君がカメ吉のように灰にされたら、一番悲しむのは坊だろう」
リチャードの言葉に、スライムはハッと顔を上げた。
オリバーは曖昧に微笑み、「君のことじゃないよ」と試験管をなでた。
「カメ吉はね、僕の初めての友達だったんだ。でも、村のみんなに嫌がられてさ、燃やされちゃった」
寂しそうに目を細めた彼を、労るような空気がふわりと包んだ。魔術で甦らせた亀と遊んでいた幼いオリバーを、きっとエリザベスは覚えているのだろう。
「ま、見た目がちょっとアレだったから、無理もないんだけどね」
諦観を滲ませるオリバーを、見た目がアレなフィフィとリチャードが、沈痛な面持ちで見つめている。
死霊魔術を使うオリバーは、気味悪がられて生身の友達ができず、またそのために、死霊とばかり親交を深めてきたのかもしれない。
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