ケロコとソージ

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ケロコとソージ

「セーフ!なんとか間に合ったあ〜」 「ヨガヲく〜ん、おはよ〜う」 「ケロコちゃん!おはよう」 声をかけてきたのは、(かえる)ケロコだ。クラスナンバーワンの美人で、ヨガヲの憧れの人である。 彼だけでなく、クラスの男子全員がケロコのファンだ。 「ヨガヲくんがいないから、ケロコつまんなかった〜」 「ごめ〜ん。ちょっとヨガに夢中になりすぎてたんだよぉ〜」 ケロコはヨガヲのことをなんとも思っていない。 ただ、ファンが減るのが嫌なのである。 「バッフ〜ン、バッフ〜ン」 「あら、トドちゃん?」 「付いてきちゃったんだ〜。っていうか、ランドセルに入っていたのに気づかなかった〜」 トドちゃんもケロコに会えて嬉しそうである。 「きゃは〜ん、かっわいい〜。ケロコ、トドちゃん大好き〜。チュッ」 ケロコからキスのプレゼントだ。 「ワンワンワンワン…」 トドちゃんが喜びの声で鳴いた。 「あ、こいつ〜。トドちゃんったら、真っ赤になってら〜」 トドちゃんがランドセルに忍び込んだのは、こういう目的があったのだな。 「ケロコちゃん、おいらにもキスして〜」 「や〜ん、ヨガヲくんったら、ケロケロマセガキ〜」 ピシャン! ヨガヲのほっぺに赤い手のひらがついた。 「いた〜い!」 「ヨガヲくんがエッチなのが悪いの〜」 そうだケロコは悪くない。 「ダメですねえ〜、ヨガヲくん。学校を二週間も休むだなんて」 別の子が近づいてきた。 大金持ちのボンボン、朝沖田掃除(あさおきたそうじ)だ。みんなからはソージと呼ばれている。 「ソージ〜。ヨガをやってたんだからしょうがないだろ〜」 「ケロコちゃん、ヨガヲなんかと付き合っていると、ダメ人間になってしまいますよ」 もちろん、ソージもケロコちゃんが好きなのだ。 「ソージと遊んでたほうがダメ人間になっちゃうぞ〜」 「ケロコちゃん、今日はぼくの家で遊びましょう」 「ケロコちゃんはおいらんちの道場でヨガをするんだ〜」 この二人は恋のライバル。いつもケロコを取り合っているのだ! 「ちょっとやめて〜、二人とも〜。ケロコ、どっちも選べな〜い。ヨガヲくんもソージくんも、ケロコのファンだよぉ〜」 「ケロコちゃん、性格悪いっていわれるだろ〜」 「うん、いわれる〜」 しかしヨガヲはそんなケロコが好きなのであった!
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