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「真鞘、おま、いつの間に…」 動揺しすぎて、まともに声にならない。そういえば、足音を立てずに移動するんだったコイツは。 「く、来るなら言えよな。あ、パンいろいろあるぞ、食うか?てか何だよその痩せ方!お前どうしたんだ、何してたからこんな、」 「…」 「あー。…ごめん。また話しすぎたな。すまん。」 「…大丈夫」 「そっか、あの、ま、真鞘。あのさ、とりあえず、元気か?」 「…」 「真鞘…?具合わるいか?」 ダメだ、もう混乱してきた。真鞘の変化、久しぶりに会えた喜び、独り言を聞かれたかもしれない不安。俺が評判のスペシャルスマイルと持って生まれた要領の良さで隠してきた激情が、いとも簡単に顔を出してくる。 「…」 「真鞘…。」 なんて情けない声。きっと表情だって、今まで見せたことないような残念な状態になっているに違いない。 あんなに会いたかったのに、今はとにかく逃げたくて仕方がない。 目の前の真鞘は、記憶にある姿より少し痩せていた。それに、前より顔がはっきり見える。整髪料をつけて、前髪を掻き上げるような髪型になっている。何やら大きめの紙袋を左手に抱えて、ぽつんと立っている。 「は、」 「!…」 「働、いた。」 「…。」 「…。」 新しい真鞘の姿を見て恐れおののき、思わず後退る俺を見て、真鞘がついに声を発した。しかし続きは出てこない。改めて見る真鞘の目は、何かを伝えたくて必死だ。 俺もひとつ深呼吸をして、優しく声をかけた。 「働いた?真鞘、どこかで働いたのか?」 「う」 「どこで?」 「居酒屋…」 「居酒屋!?よくできたな…あ、いや、うん。本当よく頑張ったな。」 そう言うと、真鞘は少し嬉しそうな顔ではにかんだ。か、か、可愛…! 「う。これ。」 「ん?」
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