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「お前仕事は?」 「無職」 「…無職で引きこもりか最悪だな。ま、でもこうして夜だけでも外出できるなら良いのか。」 「アクティブニートと呼べ」 「アクティブなら働け」 「コロネうまい」 「いや話…ん、いいわ。お、コロネきた?ウチの店のいち押し。今度食いに来いよ」 「金ない。アクティブニートだから」 「…あそ」 図体のデカイ男が小さなコロネをちまちま食うのがなんとも可愛らしい。しかもこれがまた、旨そうに食うのだ。売れ残りとはいえ店の商品を人にあげるなど、パンの好きな大型犬でもなければ断固厳禁なのだが。 俺のため息は音もなく、でもその吐息は暗闇で白く形作られて視界を覆う。暗闇…あぁ、もうこんな時間か。休息を知らない日本人を癒そうと奮起したかのように、これからが勝負と街へ繰り出す日本人を急かすように、帳は異様な速さで降りていく。 冬は変化が早すぎて付いていけない。そのくせ、変化の後には時が止まったかのような静寂と孤独を感じさせるもんだから、より一層足取りが覚束なくなる。 冬は、冬に支配されてるような気がするのは俺だけなのか 「帰る」 少し掠れた低い声がすぐ隣から聞こえた。 いつの間にか余ったパンを分厚いコートの内側にしまい終えた男がゆっくりと腰を上げていく。俺はちらりと横目で確認して、さりげなく呟く。 「明日は6時くらいかなー帰り。はぁ、土曜日だからお客さん少ないだろうな、コロネもだけどピザとかも余ったら困る」 独り言、独り言。当然引きこもり男も全く振り返りもせずにのそのそと階段を降りていく。 「じゃーなー」 返事も無し。でも一応、なにも言わなかったから明日はピザでいいか。 俺は満足し、一度頷いて部屋に入った。
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