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1 都市をもらった
この前、ぼくは日頃のごほうびに神様から新しい都市を一ついただいた。
ぼくはできたての都市を上空からうっとりと眺めていた。
「さあ、どんどん大きくおなり、それから……」
そこにやってきたのは、わが友悪魔くん。
「何見てんの」
ストレートの黒髪がかぶった、まっ白な顔をこちらに近づける。
黒い瞳がいたずらっぽくキラキラしているのが見えて、ぼくは真下の都市をかばうように腕を開く。
「ダメ! 見せない」
「どうしてさ」
「だって悪魔くん……すぐこわしちゃうんだもん」
「ちぇ」
悪魔くんは、頭の後ろに手を組んで、ぼくに背中を向けた。
そうして立ち去りかけて、また、くるりとふり向いて言った。
「それさ……その都市」
「なに?」
ぼくはぎくりとして、都市をかばうようにさらに手を広げる。
悪魔くんは、歌うようにこう言った。
「それ、オスだから卵産まないよー」
――がーん。
悪魔くんはぼくの心をズタズタにして楽しそうに去って行く。
でも、友だちにはちがいない。
理由はなぜだか分からないけれど。
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