7 あんだーざれいんぼー

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7 あんだーざれいんぼー

 遠くの山の()に、うっすらと虹がかかった。 「あの虹のふもとに行こう」  ぼくは飛び出した。  悪魔くんも追いかけてくる。 「待てよ、なんでふもとなワケ?」  羽ばたきながら、ぼくはこたえる。 「いつも見てみたいと思ってたんだ、虹がどこから始まって、どこで終わっているのか」 「……知らねえぞ、オレは」  悪魔くんが、飛びながらそうつぶやいた。  虹に近づくにつれて、色合いはだんだんと薄くうすく、それは大気に溶け込んで、しまいには何も見えなくなった。 「あれ……」  きょろきょろと、七色の橋を探す。  悪魔くんは腕を組んでそっぽを向いている。  ふと下界を見下ろすと、そこでは三万人が死んでいた。 「あれは――」  悪魔くんが言った。 「――滅びの地だ。ちょっとしたいさかいがあった」  ぼくが何か言おうとしたら、悪魔くんは珍しく慌ててつけ加えた。 「虹を出したのはオレじゃないからな。別に見せようと思ったワケじゃない。それにアイツらは、お互いに殺し合ったんだ」 「そうなの……」  悪魔くんに言われなくても、わかってるよ。  ぼくは泣いた。  涙は大粒の雨のごとく、きらめきながら地上へと降り注ぐ。 「ねえ悪魔くん」  ぼくが泣きながら指さす下界を、悪魔くんも仕方ないといったふうに見おろした。 「なんだよ、泣き虫ケムシ」 「見て」  ぼくの降らせた雨のもとに、新しい虹がかかっていた。鮮やかに。
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