仄暗い

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  私は常々受け身だと言われ、優しいと評される。そうじゃない。優しさなんかじゃない。愛おしいとかそんな感情全てを疑っている。疑っているから自分から相手に求められない。与えてくれたものでさえ疑っている。自分の領域から出られない臆病者だ。   臆病者で卑怯者で、今日も誰かがやって来るのを待っている。   何度も繰り返して、私はまだ変われないでいる。   ***   ため息を吐きながらまな板の泡を洗い流し、残った水気をワイパーで切った。雑にあと片づけをすると、最後に電気を消した。そうして私は就労の気怠さを抱えたまま、帰路に着くのだった。
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