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執拗に詰め寄る一斗に上目使いで抗議する。
「何で...明日夏には言って俺には言えないの?」
「え…?」
一斗のその言葉にぱっと視線を向けると、辛そうで切ない表情をして知桜を見つめる一斗と、視線がぶつかる。
「告ったんでしょ?あいつに」
「っ!!?」
かぁっと一気に赤面する知桜を、一斗は相変わらずレンズ越しに見つめる。
「あ、あ、あーちゃんに…聞いたの?」
「うん。ちぃが振られて落ち込んでないかって、メール来た」
これでもかと言うほど不機嫌に一斗が言う。
ーーあ~ちゃん~… …
明日夏の優しさにがっくりと肩を落とす。
できることならば一斗には知られたくなかった。
なぜなら、このことを知った一斗は必ず… …
「こんなに可愛いちぃを振るなんて…バカだよね?」
すっと眼鏡を外し、シャツの胸ポケットに入れる。
「あいつ、一回死ななきゃ…分かんねんじゃねぇ?」
低く暗い声でそうつぶやく一斗の目は…穏やかではなかった。
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