君が眠るのをずっと待っている

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頭が痛くて。 フラフラして。 帰ってきて。 悲しくて、泣いた。 苦しい時に。 縋ることもできない。 どうしてなんだろう。 『私に触れてくれませんか  なんでもいいので  私に触れてください  おねがい』 泣きながら。 震える手で書き殴って。 そのまま倒れ込むように眠った。 次の日。 熱が引いていた。 温かい服に着替えさせられてあった。 朦朧とした中で薬も飲ませてもらったらしい。 『あなたに触れました。  ごめんなさい』 日記には、そう書かれていた。 なんのことか、着替える時になって気づいた。 腕の内側に、赤紫の痣のようなものがあった。 ぶつけた記憶はない。 触っても痛くもない。 内側じゃない。 表面だけだ。 数秒かかって気づいた。 キスマークだ。 どうしたらいいのか。 分からなかった。 ただそっと。 その跡に自分の唇を重ねた。 彼が私に触れた跡だ。
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