君が眠るのをずっと待っている

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私が眠ると出てくる同居人のために。 食事と本を用意して。 日記帳に伝言を残して眠る。 朝起きると。 伝言が残っていて。 朝食が用意されている。 彼がその存在を明かしたのは、家に強盗が入った時。 空き巣のつもりが私がいたので強盗になってしまったのだけど。 咄嗟に私を守ってくれた。 箒とワインの空き瓶で強盗の男を昏倒させ、警察を呼んでくれた。 私は何が起こったのか全く分かっていなかったが、警察官は、パニックでよく覚えていないだけだろうと思い、特に追求されず。 その次の日に。 彼の書き置きを見つけたのだ。 彼はこの部屋に住みついた幽霊だか亡霊だか。 私の魔力に当てられて力を得たのだとか。 眠っている間だけ、その夢の力で。 実体化できるようになったのだとか。 彼の告白に対して私は、 『守ってくれてありがとう』 ただそう返した。 『お祓いとかしないの?』 『してほしいの?』 『いや』 『じゃあしない。  何か欲しいものある?』 『欲しいもの?』 『食べたいものとか』 『いや…』 『思いついたら言って。  買ってくるから』 それ以来。 こうして書き置きを介した共同生活が始まったのだ。
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