君が眠るのをずっと待っている

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君が眠ると私は起きる。 せっせと掃除と食事の支度をして。 マッサージをして眠りにつく。 君ががんばれるように。 君が眠っている間にその身体を起こし。 綺麗に洗い。 気に入っている部屋着に着替えさせる。 髪を乾かしていい匂いがしている。 その長い髪に顔を埋めるのも好き。 その唇に触れるのも。 流石に口づけをすることはできないけど。 あるとき。 君が無理していることに気づいて。 わざと髪の濡れたまま。 布団もかけずにソファに寝かせた。 案の定、風邪をひいて熱を出した。 でも君は仕事に行った。 休んで欲しかったのに。 君が無理するのを。 止めることもできない。 辛そうにして帰ってきた君を見て。 後悔した。 優しくしたかったのに、酷くしてしまった。 ごめんなさいと。 何度謝っても。 君には聞こえなかった。
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