君が眠るのをずっと待っている

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毎朝。 彼が私に触れた後を探した。 二の腕。 腿。 すね。 毎日探していて気づいた。 どんなに身体を捻って、鏡に映しても、背中側にはない。 簡単に見つかるところにしかない。 分かるようにつけてくれている。 ある日。 強盗の件の調書ができたと、刑事さんが書類を持ってきた。 「窓から入ってきたところを、  箒で突いて、  ワインの瓶で頭を叩いた…」 「正当防衛で、  あなたに非はないという内容ですから、  心配しないで」 「はい」 自分がしたことになっている。 実際には、彼がしたのだが。 「強盗本人が、  こう言ってるってことですよね」 「そうです。  違うところがありますか?」 「いえ、大丈夫」 強盗も、幽霊を見たなんて信じてもらえるわけないから、そう言ったんだろうか。 彼が言ったのと全く同じ内容を? 刑事さんが帰ってから。 日記に。 いつになく長い文章を書いた。
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