被害者

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 ホームに一人呆然と立ち尽くす、背後には鈍い音を立てながら閉じられた扉。やがて耳障りな機械音を響かせ肩まで伸びた柔らかな髪を揺らしながらコンクリートに描かれた黄色い線の内側に私を残し電車は走り去ってゆく。  速度を増す程に頬と背後に感じる風圧――。  この時、心愛(ここな)には耳障りな音や振動、整えたストレートの髪を乱暴に乱す苛立ちすら感じなかった。 唯一彼女が感じたもの、それは残された微かな風によりひらひらと心地よく泳ぐチェック柄スカートが(こす)れる感覚とは異なるお尻に残された置き土産。 『……、 ……、 ……触られた。 ……、 ……、 痴漢』
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