旅日和

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親友の名前はラワーレ。ラベンダー色の髪にアンバーの瞳。おっとりした性格でいつも香り高い紅茶のアールグレイが大好きな女の子。 彼女は元気かな??。上品なおばあさんと2人暮らししていてよくボクも家に遊びにいったっけ。 庭に薔薇園があって花冠を2人で作って遊んで楽しかった。 「そんな彼女とボクは4年前から会っていない。ボクは学校を卒業してすぐ今の生活をはじめてしまったからね」 素朴な味わいのクッキーをかじりながら物思いに耽る。 「ニャーオ」 聞いてる?ノワール。まあいいや。 ボクは元もとラワーレと一緒の学校に馴染めていなかった。 周りに合わせてニコニコ笑っている自分を想像出来ない時点でもうアウト。案の定爪弾きにされてしまったってわけ。 ざーざー。ざーざー。と雨が降る。 「ラワーレに相談する心の余裕がなくボクは別の学校に転校して、卒業を待って一人旅に出た。 焦っただろうな。ラワーレ。いい子だから」 ラワーレと仲良くなったきっかけはお互い両親を失くしていること。ラワーレのお母さんは病気で亡くなっていておばあさんと2人暮らししていた。ボクの両親は小さい頃に事故で亡くなって以来、ボクは身寄りがなく天涯孤独だった。不思議とラワーレとは気がねなく話したし、ボクはラワーレと一緒の時は自然体でいられた。 「…っと。長くなってしまったけど今の生活もなかなか快適だよ」 ラワーレに思い切ってつい1週間ほど前に生まれ育ったエーテリングの街に帰る手紙を出したんだけど。届いていますようにっ。
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