満悦師匠

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話は少し遡り、先週の火曜日の朝の事です。 私はお手伝いの希世さんが裏で漬けておられた白菜の漬物の樽を動かす手伝いをしておりました。 表が騒がしく、先生の担当編集者の白井さんの声が聞こえました。 いつもの事の様に思えますが、慌ただしく、「先生、先生」と大声で言いながら玄関を入って来られるのがわかりました。 先生は書斎に居られる筈なので、そんなに探さなくても良い気はしたのですが、白井さんは家の中を「先生、先生」と走り回っておられる様です。 私は漬物の樽を軒下に動かして、勝手口から家の中に入りました。 お勝手は厨へと繋がっており、私は厨から食堂へと入り、走り回る白井さんを居間で見つけました。 慌てる白井さんを抱き留める様にして止めました。
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