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22.
目を開けると、見慣れた自宅の天井が姿を現す。いつの間にか眠っていたらしい。永遠子は重い身体を起こしながら、アイフォンで時刻を確認する。午前三時。窓から見える空は、まだまだ日が昇る気配はなかった。
部屋の電気を消そうとベッドから立ち上がると、途端に陰鬱な気分が胸中を渦巻く。先程見た走馬灯のような悪夢がフラッシュバックし、重々しく溜息を吐いた。このまま寝直しても、ロクな夢は見られなさそうだ。
電気は消さずに、永遠子はベッドに戻りアイフォンを操作する。動画サイトでも巡ってから寝ようかと考えていたら、メッセージアプリに一件、通知が来ている事に気が付く。沙莉からだった。開くと、厨房で氷をグラスに入れる玲斗の写真があった。《夢と希望》の制服に身を包み、真剣な横顔で氷を入れる玲斗に、永遠子の胸の奥がずっしりと重くなる。その重みが何かわからなかったので一旦無視することにし、沙莉に『制服、似合ってるね』と返事をした。
やはり寝なおそう。永遠子は立ち上がり部屋の電気を消す。真っ暗になった部屋の中で、ベッドに戻り倒れ込み、目を閉じた。
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