出逢

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出逢

17になる年の2月。 私は人生2度目の高校入試を受けていた。 昔から人と馴染めず不登校を続けてきたが、高校ではそれが通じなかった。 進学校への入学で喜んでいた両親を半年ほどで絶望に叩き落した。 中卒では生活ができないからと、自由度が高い高校へ入り直すことになった。 現在、入試2日目の2つ目の試験の真っ最中。 つまり最後の科目だ。 この高校の競争率だと2,3人は落ちる。 だから、死に物狂いで問題を解かなきゃいけない。 それなのに...。 私の目線はチラチラと問題用紙と前に座る試験監督官を往復していた。 苦手な理科のテストだというのに、集中力は皆無で机よりも前を見ている時間が多かった。 それなのに注意されなかったのは試験官の彼も注意散漫だったからだ。 試験10分前。 今までの試験官ならばとっくに来ている時間。 そこにいるはずの人物は未だ姿を見せていなかった。 (何やってるんだろう...?こっちは緊張してるし、人生かかっているのに信じられないっ。) 私は苛立ちを覚えながら試験を待っていた。 試験8分前。 バタバタと音が鳴り、扉が開く。 やっと来たと思うより早く、身体がハッとした。 ストライプのスーツを着こなす長身と長い脚。 細身の肩幅。 そして、小さな顔に宿る黒目がちな鋭い瞳。 一目見ただけでこの人のことが好きだと心から思った。 今までも付き合ったことはないけど恋はしてきた。 そう思っていた。 だけど。 どの好きだった人にも持ったことがない感情が湧き上がる。 "この(ひと)が欲しい" 私は生まれて初めて一目惚れをした。
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