6色のパステル

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次の土曜日、俺は隣町にある叔父の家を訪れた。 いったい何年ぶりだろう。 祖父母は俺が大学の頃に続けて他界し、母も一昨年にくも膜下出血で帰らぬ人となってからは、独身でひとり暮らしの叔父を訪ねるきっかけをなくしていた。 昔、あんなにお世話になったのに。 「リョウくん、結婚おめでとう」 会わない間に総白髪になった叔父は、とびきりおいしいコーヒーを淹れてもてなしてくれた。 「ありがとうございます。招待状は嫁が鋭意作成中でして、式の2か月前には発送しますんで」 「楽しみにしてるよ」 「はい」 会話が途切れた。叔父の方では、突然の訪問の理由が気になっているところだろう。 コーヒーの苦味で気持ちを整えてから、俺は持参した紙袋を握りしめる。 「今日はあの、叔父さんにどうしても渡したいものがあって」 「ん?」 「これなんです」 ひとつ大きく息を吸い、俺は紙袋を差しだした。 中から古いパステルの箱を取りだした叔父は、小さく首を傾げた。 「……パステル?」 「はい。こ、これ……小さい頃、俺が叔父さんの部屋から盗んだんです」 深々と頭を下げた。
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