6色のパステル

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「四半世紀も経ってお詫びというのも情けないんですけど、これ、受け取ってください」 画材屋の袋から出てきた48色入りのパステルのケースを、叔父はそっと撫でた。 「リョウくん、出世したなあ」 しみじみと言われて、胸がじわりと熱くなる。しかし、次の言葉で呼吸が止まった。 「……リョウくん。僕ね、実は今ほとんど目が見えないんだ」 「え!?」 思わず腰を浮かした。 「緑内障が悪化してね。だからこんな立派なものをもらっても、僕はもう描けないんだ」 胸を突かれて、俺は呆然と叔父の目を見つめた。 なんということだ。 俺の、初めて手にしたパステル。 俺の、初めて犯した罪。 それが、こんなところに帰結するなんて──。
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