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「ハドくん、ありが——」
お礼を言っている場合ではないと、本当の状況を悟ったのは、その時だった。
一見すると、ハドに大した外傷は見えない。見えないが、その体の下には軽視できない量の血が広がっている。ピンポイントで急所を貫かれたといったところだろう。
もちろん、魔王との戦いなのだ。
負傷も死別も可能性としては頭にあったが、それが自分を庇ったための結果と思うとアキラには耐え難い苦痛だった。ゴウゾウがアキラを救おうとして喰われた前例があるだけに、それはなおのこと。
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