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#11
病院を後にして、ボクと正直は近くの公園のベンチに腰を下ろした。
缶コーヒーを手に取り、留めのない話しをしていた。
天気は良いがコロナの所為か、子供たちは数えるほどしかいない。
子供が楽しそうにグローブジャングルを回転させ遊んでいるのが見えた。
正義とは幼稚園からの幼馴染みで、昔、幼稚園のグローブジャングルで遊んだ記憶がある。
「アイツが、この近くの街にいるらしいんだ」
不意に本田正直は缶コーヒーを煽り、ボソボソとつぶやいた。
「えェ……、アイツ?」
「呪井だよ」
眩しそうに眉をひそめ、青空を見上げた。
「ああァ…、らしいな」
ボクの元へも呪井の情報が送られてきた。
敏腕弁護士により、呪井は無罪になっていた。
裁判で精神鑑定の結果、悪魔に取り憑かれていたと言う呆れた理由により無罪を勝ち取った。
その呪井が、この街に戻ってきたらしい。
「悪魔は裁かれないとな」
正直は、空になった缶コーヒーをグッと握りつぶした。
「ぬうゥ」
ゲーム終了まで、あと数時間だ。
僅かな残り時間しかない。
ボクも腹を括らなければならないようだ。
いつもより缶コーヒーが苦く感じた。
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