3人が本棚に入れています
本棚に追加
#18 昔のように……
さらにその夜、意識不明だった蒼井正義が病院から姿を消した。
捜査関係者の話しでは呪井一人は何者かに脅され、かなりナーバスになっていたようだ。
悪魔に追われていると妄想を口にしていた。そのためナイフを用意していたのだろう。
事件後、ボクは本田正直の屋敷へ呼ばれ話しを聴いた。
大きな屋敷だ。
「平の元へ蒼井正義から連絡が来たッて言ったよな」
正直が訊いてきた。
「ああァ!!」ボクは頷いた。
「あのとき、オレの元へも蒼井正義から連絡が来たんだ」
「まさか、【ジャスティスゲーム】か」
「ああァ、あんな結末になるなんて」
「お前じゃないよな」
だがボクは本田正直を見つめて訊いた。
「何がだ」
「電話の相手だよ。蒼井正義を騙った」
「フッフフ、なんだ。ゲームの勝利者の賞品がご所望か!?」
「別に」
やはりそうなのか。
正直の作ったシナリオ通りに、呪井一人は死んだのだろうか。
けれどもこれ以上、追求したトコロで蒼井正義は元に戻らない。
ボクは大きな窓越しに空を見上げた。
青く澄みきった空が広がっている。
いつかまた蒼井正義と、この青い空を眺めたいものだ。
昔のように……。
THE END
最初のコメントを投稿しよう!