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#3 あなたが殺したからですか
『あなたが殺したからですか?』
「な、違う!! 誰なんだ!!」
思わず聞き返した。
『言ってるでしょ。蒼井正義だと!!』
「くうゥ……、蒼井正義くんの身内の方なンですか!! あなたは!?」
『平君!! キミは、蒼井正義を見殺しにした。そうではないのですか!!』
「うッ、ううゥ……、それは」
確かに、その通りだ。
☆゚.*・。゚☆
あれは、高校二生生の帰宅時刻の事だった。
すでに期末テストも済み、夏休み前だったので多少、気が緩んでいたのかもしれない。
蒼井正義と本田正直とボクらは連なって、昨日のドラマや好きなアイドルの話しをして歩いていた。
愚にもつかないコトだ。
不意に前から柄の悪そうな若い男性が歩きタバコをしながらスマホをイジっているのが見えた。
ボクらよりも年上だろうか。
二十代前半の腕に紅い蜘蛛のタトゥをした見るからにヤンキーだ。
おそらく半グレ集団【レッドスパイダー】の一員だろう。
むやみに近寄らない方が無難だ。
『……』この通りは通学路だった。
学童も通るので歩きタバコは禁止になっている。しかもスマホに気を取られ、前をまったく見ていない。
危ないとは思ったが、関わり合いになりたくないので見て見ぬ振りをした。
そこへ小学生の男の子が、飛び跳ねるようにボクたちを抜き去っていった。
スキップをするように元気で軽やかだ。
だが悲劇は突然、目の前で起こった。
向かいから二十代のタトゥをした男の手にしていたタバコが小学生の男の子の頬の辺りを掠めてしまった。
『わッァァァーー……!!』
男の子は熱かったのか、途端に喚き立てた。
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