#5

1/1
前へ
/18ページ
次へ

#5

『ちょっと待ってください!!  危ないでしょォ!! 今、この子の顔にタバコの火が当たったんですよ!! 謝ってください!! この子に』  蒼井正義は、追いかけてギュッと肩を掴んだ。 『るッせぇ!! 触んじゃねえェよ』  すぐさま振り向きざまに紅い蜘蛛のタトゥの男は、力任せに手を振り払った。 『痛ッてぇ……、あなたねえェ!!』  思わず、蒼井正義はキッと睨み返した。 『なんだァ!! こらァ、その目は!!  ヤンのか。ガキがいい気になってるなよ』  紅い蜘蛛のタトゥの男は完全に逆ギレだ。  突然、蒼井正義に殴り掛かっていった。  ボクシングでもやっていたのだろうか。  ステップも軽やかにジャブを放った。  ガッツンという鈍い音があたりに響く。 『ぐッうわァ!!』いきなり閃光のようなパンチが蒼井正義の顔面に入った。 『ああァ』  僕らは茫然として立ち尽くすだけだ。 『ふざけやがってェ……!! こらァ!!』  ヤンキーは、なおも容赦なく襲いかかった。  ボクも隣りの友人の本田正直(まさなお)も怖くて何も出来ない。 『ぐわァ、た、助けて』  蒼井は悲鳴を上げるが、ヤンキーは狂ったように蹴り上げた。 『舐めんなよ!! 殺すぞ!!』  止める間もなく、一方的に殴る蹴るの暴挙だ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加