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 止める間もなく、一方的に殴る蹴るの暴挙だ。 『テメェ……!! 舐めてると殺すぞ!!  おらァ、おら、おらァーー!!』  さらに興奮してエスカレートしていく。 『うッううゥ……』  ボクらは何もできず、ただ怯えて傍観しているだけだ。  まるで鬼のような形相をして蒼井正義をボコボコにしていった。 『や、やめてください!! す、すみませんでした』  蒼井正義は路面に叩きつけられ、泣きながら謝っていた。  もはや血まみれだ。 『うッ、ううゥ……』  ボクたちも顔にタバコの火をつけられた小学生も怯えて声さえない。 『死ねえェ……』  蜘蛛のタトゥの男はサッカーボールキックが顔面に入り、そのまま蒼井は勢いよくゴロゴロと転がってガードレールを越えて、道路まで行ってしまった。 『ああァ……!!』  とっさに止めようもない。  それは一瞬の出来事だった。      その時、トラックが耳をつんざくような音をたてて急ブレーキを掛けた。   『正義(セイギ)ィーー!! 危ない!!』  必死に声を掛けたが次の瞬間、蒼井正義はトラックに轢かれてしまった。  目の前で蒼井正義の身体がカラクリ人形のように弾け飛んでいく。 『!!』  なにも出来ず、ボクは茫然と見送るだけだった。  この時の事故で、蒼井正義は救急搬送され今も意識不明のまま病院のベッドで昏睡状態が続いている。  今も……。  だから間違っても。 「蒼井正義君のはずは……」ない。  
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