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2.作戦実行
「あとは…平凛だな。飾りつけとかをする時や、料理を運ぶ間、何か足止めしておく方法あるか?」
「じゃあ、私、友達に手伝って貰うから、お兄ちゃんは姉さんとドライブでもしてきてよ。昼からで大丈夫だからさ」
「お、おぉ、わかった。昼食後から夕方まででいいならお安い御用だ」
「では私は早速是真様に連絡をとっておきますね」
とももっちっは言った。
…誕生日当日…
昼食後、オレは平凛に、
「平凛、ちょっとドライブでも行かないか?」
と誘ってみたら、
「ダンナ様の行くところならどちらにでも参ります」
「そっか。なら1時半に出発しようか。準備はそれくらいでいいか?」
「もちろん大丈夫でございます。では用意して参ります」
と言って自室に引き上げて行った。
「さて、どこに行くかなあ…海の街の方はいつも行ってるだろうから、北か東か…。海も見飽きてるだろうから、やっぱ山がいいか…」
とか独り言を言いながら考えていたら、唐突に「仁淀ブルー」という言葉が浮かんできた。「仁淀ブルー」というのは、高知県で一番水の奇麗な仁淀川の上流にある河川の岩や石が奇麗な青色をしているものが多いため、川の水が青色に見えることからそう名付けられたものだ。
おそらく平凛は見たことがないだろうから、オレはそこに決めた。
仁淀ブルーといえば有名なスポットは「ニコ渕」だ。仁淀川の本流から支流に少し入ったところらしい。そこには滝があって、滝つぼの色が濃いブルーで、とても有名なスポットだった。
そこはつい最近、道路から川まで降りる道の替わりに、階段を付けたと聞いたばかりだった。
そうしていると、平凛が降りて来た。
「ダンナ様、これでよろしいでしょうか?」
と、着ているワンピースのスカートを少しつまんで引き上げて見せた。
オレはそれを見て、
「う~ん、ヒラリだけに少しヒラヒラしすぎかな…急な階段とかあるので、ジーンズの方がいいかもな」
というと平凛は、
「そうですか…」
とまた自室に戻った。
直後背中に、
『バシッ!』
という衝撃があり、ビックリして振り向くと今度はみぞおちに優菜の正拳突きがモロに入った…。
「グハッ…」
オレは息が止まってしまい、しばらくまともに酸素を吸えなかった…。
やっと呼吸が出来だし、オレは、
「ナ…ナニすんのぉ?」
と聞くと、
「お兄ちゃん、今のオヤジギャグは何なの?バカなの?」
「何って何がだ?」
「これだからダメなのよ…。さっき姉さんは、お兄ちゃんに衣裳を見て褒めて欲しかったのよ?それをいきなりオヤジギャグ飛ばしてからジーンズにしろだなんて、恋人失格だよ…」
「あ…そうだったのか?」
「そうだったのか?じゃないわよ、ホントにもう、ニブいんだからぁ…」
と言った後優菜は急に後ろを向くと同時に平凛が降りて来た。
今度はジーンズと薄いピンクのブラウスに上着を羽織っている。
「お!平凛、なかなか似合ってるぞ。カワイイじゃないか」
オレにとっては最高の賛辞を言ったつもりだったが、優菜に後ろから膝を「カックン」とされた…まだ何か足りないのか…?
優菜は歩き出しながら小声で、
「遅い!」
と言い残して去って行った。色々難しいもんだな…。
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